北京に訪れるもの、いや中国を訪れるものが必ず一度は行く万里の長城。故宮・天壇に並ぶ北京最大の観光スポットである。近いものでも1時間ほどは要するが、中国の偉大さを体感できる場所であり是非足を延ばしてみたい。観光者が多く訪れるのは八達嶺長城、慕田峪長城、司馬台長城だが、それぞれが違う顔を持つので余裕があれば2箇所以上訪れたい。さらにその他にもいくつかのスポットがある。
紀元前5世紀頃の周代に北方騎馬民族の侵入を防ぐために築いた城壁がその起源で、戦国時代に各国が建設を進めたが、天下統一を果たした秦の始皇帝がそれらを連結し、さらに西へ延長し今日の長城の原型ができあがった。
東端は渤海湾岸の山海関から西は甘粛省の嘉峪関まで、もちろん完全につながっているわけではないが、一重のものと考えれば2,700kmにおよぶ。二重になっている部分なども全て足した総延長では1万華里を超え6,500km強になるとも言われ、これが「万里の長城」という呼び方の所以となっている。
秦の始皇帝による整備後も諸王朝が改修を続ける。ただこれは「版築」という工法、すなわち板の間に土を入れ杵でつき、固めるだけという工法で作られた。これは土塁の延長に過ぎないということもでき、この頃の長城は今や崩れ去ってしまった。現在見る長城のほとんどは明代のものである。明代からは黄土を型に入れ乾燥させ、焼いて鮭瓦を作り、これで長城外部を築く工法が採られるようになった。明は永楽帝の頃まで北方に対し攻撃的であったが、次第に防衛的になっていき、長城の整備に傾注するようになる。
北京の周辺の長城は全長約600kmで、一定の間隔で敵楼(敵情を監視する望楼)が設けられ、また道路との交差地点に関が設けられた。関は「口」と呼ばれる場合もあり、例えば北京市北東部には古北口の地名が見られる。
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